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建築・建設業界の裏や闇を斬る! 大工のおっちゃん工房

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古民家再生計画の前にもう一度考えて欲しい事

古民家再生(3840 × 2160 px)

                                             

今回は自宅、カフェ、動画素材と高評価?を得ている古民家について、私なりに考察した事をお話します
あくまで職人目線での考えなのでご参考になれば幸いです
                                          

  






古民家と中古住宅の違い

さて、ここから話さないでもよい方は大勢いるとは思いますが、インテリアをお考えの方やDIYの計画を考えている方は、もう一度確認してください

古い家


これは古民家の枠ではない、古い家です
え? 古民家でしょう~・・・とおっしゃるあなた!
古民家とは! という定義的なものを再確認してください

私たち職人の中での古民家カテゴリーの基本は、充分乾燥した太くて7~8mあるような長さの梁を使用していて、釘という概念がありません
製材技術が高度ではなかった分、継ぎ手や臍などの技術が高度で、曲がっている梁も強度を保った形で完成度が高く接合しています

古民家は、梁や柱に使う前に伐採してから充分乾燥させて、それ以上変形がない木材を使用して躯体を構成しています
ですから構造体だけでも程よい強度が出せる為、筋交いは最小限で済みます
その躯体はゆうに100年以上の耐久性があります
その信頼性が古民家はリノベーションしても大丈夫という考えに至るのでしょうが、その計画を立てる前に、古民家の特徴を理解したほうがいいですね

上の画像は多分昭和40年代~50年代に建てられた家です
サッシではなくガラス戸、瓦は当時陶器瓦が不足した為の代用品のセメント瓦
外壁はサイディングではなく塗り壁が特徴です

構造体の梁は、この当時木材不足と高価なものを使わなくても家は建てられるという風潮からほぼ1尺(大体30cmぐらい)のもので構成されています
ですので、筋交いもあちこちに補強材としていれなければいけません
当時流行った文化住宅というものです


古民家1

  

古民家の特徴はイコールデメリットになり得る

どっしりとした風格、在来工法とは違う日本古来の建築技術の集大成ともいえる圧倒感!
柱はゆうに30cm以上の存在感を見たら、一発で惚れてまうやろ~的な安心感を感じると欲しくなってしまいますよね
尚且つ上物(建物の価値)はびっくりするぐらい安いとなれば、もう迷う事ない!
って大暴走する方はいないとは思いますが、
今建てようとするといくらかかるんだろう?
って思った方もいると思います

因みに私が監修した平屋の78坪、今から26年程前建立した物件は2億7千万です(当時の値段)
材料を探すのに2年近くかかりました
そうなんです
値段はともかく、木材を探すだけでもそれだけの労力がかかるものなんです
また、それだけのものを探すから値段もそれだけかかるんです

古民家を建てた当時の人達は、自分所有の山から木材を切り出して、それを何年もかけて乾かして、それを製材して・・・という何年もかけたプロジェクトだった訳です
家は一生一度というセリフは、現代の人とは違う意味で大事業だった訳です
時間と手間をかけて、職人の最高峰の技術で建立した屋敷作りが古民家です

ですから神社仏閣同様耐久性もよく、襖や障子の桟も分厚い為、手直しの必要もない程重厚で、城と呼ぶにふさわしいですね
ですがそれがデメリットになるんです
よく内覧に行った方に話を聞くと、
襖が硬くて開かなかった
畳が異様にフワフワで怖かった
板の間があったが、何に使っていたか・・・
お風呂が外だった
かまどって初めて見た


水回りは通常のリノベーションでも、まず手を付ける所なのでそこは仕方がないと思うようにしましょう(かなり無理やりですが)
ただ、かまどを壊すかどうか、台所の設計が新築の水回りと一緒なので困惑しますね

さて、ここで一番の困りどころをお話します
古民家には今の家と違って基礎がないんです
今の家の建築にはベタ基礎という工法が義務化されています
その前は布基礎工法といういずれもコンクリートで枠を作って土台を乗せる台を作っているので、その上に乗る躯体は安定しています
ですが古民家はその基礎という概念がありません
簡単に言えば、地面に石を置き、その上に塚柱を建てて大引、根太、床と
いうふうに構成します

通気性をよくして、カビや湿気の対策をしているわけですが、本体の古民家が100年以上経過すると塚柱が朽ちてきたり変形したりして、本来の強度が出せないばかりか、襖の敷居を変形させたり、畳をフワフワにさせてしまうという結果になります
ですが、あまり気にならないからそのままにした・・・
というのが間違いの始まりです
100年以上前に建てたものでそう気にならないといっても、数年経ったらガタガタになったという事は頻繁にあります

ですから、各部屋、各部署全ての塚柱をチェックして、できれば床の下周りは全て交換する事が前提で考えたほうがいいでしょう
しかし今の木材で簡単に取り換えという事はできません
相当な重量がかかっている所なので、加重計算や、それに伴うひっぱり係数
の計算など、容易ではない対処が必要になるのです
また、100年以上経過した建物は構造体以外の、例えば壁や天井などの再構成は今のリフォームのような安易なものではありません
木材は石のように固く、壁は土壁なので解体するにも大変な作業です 



古民家1


カフェや美容院、商業施設に考える時の盲点


ネットやTVで、古民家と付くカフェや商業施設が紹介されます
また、今動画サイトで古民家DIYと銘打ってアップロードしているサイト
があります
私はそれを否定はしませんし、むしろ応援しています

ですが、結果として古民家は立地条件が悪いという致命的な欠陥があります
お屋敷作りの古民家は、通りに面しているほうが珍しいし、万が一通りに面していれば好都合といえますが、なかなかそうはいきません
TVでも放送していた食べ物やさんが、とても奥まっている古民家だったと思いましたが、味や雰囲気が良く絶賛していました

ですがそういう繁盛している店は稀で、
・夢や希望を持ってお店を開店しても客足が伸びず閉店
・田舎に移住プロジェクトで仕事をしながらDIYしていたが、問題がおこり挫 
 折してしまった(近隣住民とのトラブルと表明はしている)
・DIY動画を出している方も最初は頑張っていたが、更新が無い
など、商用目的な方はことごとく途中で挫折しているようです




まとめ


私は古民家を移設したり、曳家(家を建っている状態のまま移動する)をしたり、リフォームやリノベーションという工事を手掛けてきました
その中で、パーツ毎の修復方法やリフォームプランを紹介したり提案するサイトはとても多いです
でも、私はそういった内容のものではなく、本当にいいの?
が言いたいところです
今お住まいの部屋や住宅とはくらべものにならないくらい寒いし、それを解消する工事はとてつもない労力と時間がかかります
修復するのに施工店を使ったとしても、ほとんど家が買えるぐらいの見積りが出てきます
そうしてまで古民家に住むという選択肢があなたにあるのなら全力で応援したいと思いますが、一旦冷静になって考えてもいいんじゃないかと思います



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